「秘密基地建造ファイナル⑧~夢の宴」第171回サルシカ隊がいく

投稿日: 2012年11月21日(水)09:12

写真/フォトグラファー加納(加納準) 写真師マツバラ(松原豊) ウッディ中谷(中谷兼敏)

文/サルシカ隊長(奥田裕久)

2日間に及ぶ「サルシカ秘密基地建造ファイナル」は終わった。

メインステージのウッドデッキ、屋根、そしてトレーラーハウスを覆う屋根は完成した。
基地を囲む柵もできた。
枕木を敷き詰めたオープンイベントスペースも出来上がった。

しかし、
事務所となる小屋と、秘密基地の象徴となるツリーハウスの鬼太郎ハウスはほぼ手付かず状態のまま。
涙を飲んで次回に見送ることにした。

え、次回?
タイトルに「ファイナル」ってあるじゃん・・・って?
だってさ。
終わらなかったんだもん。
仕方ないじゃん。

「宇宙戦艦ヤマト」だって、「さらば~」のあとに「永遠に~」とか「新~」とかあったじゃん。
ま、それと同じ。
たぶんこのシリーズのあとに「ファイナル2」みたいな感じで続きます。
今のうちにご了承ください(笑)。

さて、我が家のキッチンでは、割烹やまきの大将やまちゃんが大忙しであった。
さっきまで金槌をトンカンやっていたのであるが、今度は包丁でトントントンと格闘していた。

疲れているところ申し訳ないのだが、やまきの大将がいるのだから料理してもらわないわけにはいかないのだ。
でないと、長嶋茂雄がいるのにサッカーだけやらせて帰すみたいなもんである。
ワケのわからぬ例えだが、そんな感じだ。
やまきを知る人間は、「やまきの大将がいる。今晩は絶対やまきの料理が食える。うひひひひ」と期待していたに違いないのだ。
その期待に応えるため、痛む腰や肩にムチを打って台所に立ってもらったのだ。

「もう~、かなわんな~」

と言いつつ、女性に囲まれ、やたら楽しそうに準備を急ぐのが、このやまちゃんであった(笑)。
先週収穫した黒豆、そして我が家の冷蔵庫の残り物を使った料理などがどんどん出来ていく。
そのあいだに女性陣はおにぎりをにぎにぎ!

この日、どかーんと用意されたのは、こちらの鯉こく。
ご近所のSさんが、宴会やるならこれをどかーんと食え、と、どかーんとデカイ鯉を2匹くれたのである。
それにたっぷりのショウガとニンニクと味噌を使って作ったのがこちらの一品!

そして出来上がったばかりのウッドデッキのメインステージで宴会。
山形から駆けつけてくれた救世主「でこさん」による乾杯で、ドドドドドと飲み食いがはじまった。

雨に打たれ、泥にまみれたままの者も多かった。
昨日から風呂にも入らず、パンツすら変えていない者も多かった(隊長のワタクシもです。笑)。

でも最高の気分で酒をかかげ、一気に飲んだ。

楽しい。
何も話してなくても笑いがこみあげてくる。
こんなに笑ってばかりで人生いいのかと思うが、それを忘れてしまうほど面白い!

やまちゃんの料理をみんな奇声をあげつつ、ガツガツ食べた。
ビール、焼酎、ワイン、日本酒・・・あらゆるお酒をがんがん飲んだ。
そしてみんなでなぜか笑った。

酒を飲み、腹が満たされたら音楽だ。
隊長のワタクシと、そして「ひょっとしたら親子ではないのか」とあちこちで噂されている愛知のスナフキン「ウッディ中谷」が鼻笛を吹いた。
三重の山里の夜に響く「ふるさと」。
もはやここが、みんなのふるさとなのだ!!

が、音楽が入った途端、壊れていくのがワレワレの常道である(笑)。
南アフリカのパーカッションニスト「エロン」がギターを弾き鳴らし、打ち鳴らしはじめると、突如としてムネちゃん隊員がホウキを持って躍りでた!!

「いえい!! ぎゅいいいん!!」と口で叫びながらのエアギターである。
いつもなら3秒で絞め殺しているところであるが、この日が盛り上がった!!
拍手喝采!!
もっといけい、となった。
すると、ムネちゃんは、何を思ったのか、「隊長もいえい!!」とほうきギターをバトンタッチするのである。

もうそこからは夜の泥沼であった。

隊長のワタクシが踊り、キヨちゃんが踊り、なんとバカエミも、M子も踊った。
やまきのお母ちゃんもゴンちゃんも、ともかく踊った(笑)。

その頃になると、大工のT橋もやたら「へへへへっ」と笑い出し、いつの間にかハーモニカを持ってステージにあがるのだ。
やんやの歓声を受けつつ、ダンサーのYUKOも踊る。
えらいことになってきた。

しかも!
大工のT橋はどこに隠していたのか、次から次へと世界の珍妙な楽器を取り出し、みんなに配りだし、みんなワケがわからんままピーやらブーやら音を出し、またスナフキン中谷は恍惚の表情で鼻笛を吹くのであった。
まさに笑いと音楽のカオスであった。

割烹やまきのやまちゃんと、宴会のみやってきた不届き者の「みすず」(稲ちゃんの奥さんね)が壊れまくった。
まさに人格崩壊である(笑)。

ノンアルコールビールを飲んでいた者も何人かいたが、その人たちからすると、まさにアホのるつぼであったに違いない。
この場を借りて公言することをご容赦願いたいのだ(笑)。

「みんな~、今日はボクらのコンサートに来てくれてどうもありがと~~~っ!!!」

最後はムネちゃんとワタクシのアホなパフォーマンスで締めとなった。
ちなみにムネちゃんとワタクシは、過疎地域のわずか2人しかいない小学6年生の父親同士であった。
PTA会長と体育委員であった(笑)。

また雨が降りはじめた三重県津市のはずれにある集落に、運転代行が何台もやってきて、宴会はお開きとなった。

「家で猫ちゃんが待ってるから今日は絶対帰るから」と言っていたスナフキン中谷は、もうすでにキャンピングカーの中で夢の中の人となっており、宿泊組は寝支度に入った。

怒涛のような2日間はこうして終わった。
働いて、飲んで食べて歌って、働いて、食べて飲んで歌って踊って・・・。
本当に夢のような2日間であった。

翌朝。
秘密基地に新しい朝がやってきた。
これまでなかった異様な風景に、朝の鳥たちも驚いているようであった。

戦いのあとは、透きとおるように静かで、空気は澄みわたっていた。
そして昨日の雨がウソのように晴れわたっていた。

朝7時。
いつもより寝坊して、私が秘密基地へいくと、愛知に帰っているはずのスナフキン中谷がコメを研いでいた。
これから朝飯を炊くという。
車に泊まったらしい山形のでこさんは、首をゴキゴキ鳴らしながらタバコを吸っていた。
夜、宴会が終わるころに戻ってきた写真師マツバラとケロリン桶太郎も、トレーラーハウスの中で寝袋を畳んでいた。

そこに今日からさっそく仕事が入っている大工のT橋とM田が道具を取りにやってきた。

「うわ、朝からすごい人ですね」

大工のT橋は笑った。
その途端、また車が止まって、エネオス稲ちゃんとみすずが「何やってんですか、こんな朝早くから~」と降りてきた。
サルシカの秘密基地は早朝から賑やかである。

みんなでコーヒーを飲もうということになって、キャンピングカーのサルシカ号から、もう何年も使っていないパーコレーターを見つけ出してきて火にかけた。

まさにキャンプ。
ワクワクニコニコの朝である。

その時、「ああああああああああ!」と素っ頓狂な声を写真師があげた。
「虹だよ、虹! すごい虹が出てる!!」

サルシカ秘密基地のメインステージの奥に広がる山々に、大きな大きな虹が見事な形でかかっていた。
こんな「まさに虹!」という虹を見るのは久しぶりだ。
写真師もスナフキンも桶太郎も大工も写真を撮った。
が、コーフンしてたせいか、みんなiPhoneやスマートフォンで撮っていた。
カメラマンですらiPhoneだった。
(上の写真は写真師マツバラがiPhoneで撮った写真です)。

みんな、ウッドデッキのステージに並んで虹を見た。
おじさんばかりであったが、その目はキラキラと輝いていた(笑)。

まるで奇跡だった。
空が秘密基地の完成(厳密には完成してないけど)を祝ってくれているようであった。

パーコレーターがポコポコいいはじめ、みんな紙コップを持っていそいそと焚き火の方へと戻った。
みんなで作り上げた秘密基地で、虹を眺めながらモーニングコーヒーを飲む。
おおおお、なんて素敵なことだ。
幸せなことだ。
こんな夢みたいなことがあっていいのか。

隊長のワタクシは軍手を二重につけてパーコレーターをつかもうとした。
そのとき・・・・・!!!

燃えていた薪が崩れ、見事にパーコレーターはひっくり返った。
コーヒーは香ばしい匂いをまき散らして、ジュワーと音を立てた。

「あああああああああああああああ!!」

そこにいた全員が声をあげたのは言うまでもない。
これが、サルシカ秘密基地の記念すべき第1日目の出来事である。

そしてこれで終われば格好いいのだけれど、このシリーズですら今回では終わらない。
なんと残業3日目がスタートするのである(笑)。